ノンフィクション編集部 社員インタビュー
S・Mさん
2014年入社。
週刊新潮編集部を経て、2018年よりノンフィクション編集部。
仕事の紹介
新刊を書評で取り上げてもらえるようにお手紙も書きます。
ノンフィクション編集部で、書籍の編集をしています。ジャーナリストの方にある事件や問題をテーマにご執筆いただくのはもちろん、学者の方や、世の中であまり知られていない職業の方に、これまでの経験を綴っていただき、ノンフィクション書籍にまとめたりしています。
たとえば、海の底に眠る沈没船を研究する「水中考古学者」の方に、これまでの発掘の日々について書いていただいたこともあります。2024年11月には、転売ヤーについての新書も担当しました。人気商品あるところ、必ず現れる転売ヤー……彼らの実態は? という疑問から立ち上げた企画です。
企画を考える時に大切にしているのは、「うっすら知っているけど、これって実際、どうなの?」という世間の疑問に答えたり、「こんな世界があるなんて!」と知的好奇心を刺激する本を作ることです。ノンフィクション編集部で扱うテーマはジャーナリズム、エッセイ、写真集など広範囲で、いろいろなテーマに自由に取り組めるのが楽しいです。
入社後一番の思い出
「いっそのこと、現場を見にいきませんか?」山岳遭難捜索について書籍を作っているとき、どうしても遭難現場の状況を文章からイメージできず困っていた私に、著者がそう声をかけてくれました。
週末、ふたりで奥多摩の山へ。「あそこです」と著者が指さしたのは、登山道から直線距離で、わずか十数メートル先。山では、こんな距離が生死を分けるのか……。その事実を改めて目の当たりにした瞬間でした。この事実をしっかり届けたい。現場の写真も撮り、著者と表現を何度も相談。完成した書籍『「おかえり」と言える、その日まで―山岳遭難捜索の現場から―』
(中村富士美)は、現在、5回重版をし、多くの方に手に取ってもらえています。
ある日のスケジュール
- 5:30
- 起床。
- 8:00
- 出社。誰もいない編集部で仕事スタート。自分の好きな時間に仕事をできるのも、この仕事の魅力。
まずはAmazonのランキングをチェックして、売れ筋を勉強……。
- 8:30
- 著者から届いた原稿チェック。
- 10:00
- 3か月後に刊行予定の書籍のコピーやパブリシティを検討。どういった言葉ならば読者の興味をひけるか、
どんな媒体で取り上げてもらうといいか……ネットサーフィンしながら考えます。
- 11:00
- 著者にメールで感想を送信。
- 12:00
- お昼休み。
- 13:00
- これから企画を一緒に考えるという段階の著者と打ち合わせ。
最近、見た映画や興味を持っていることなど雑談も交えながら、いろいろと一緒に考えを深めていきます。
- 15:00
- 経費の精算。集中力が切れるこの時間帯に、事務作業をすることが多いです。
- 16:00
- 来週の企画会議に向けて、企画書を作成。
メモアプリに気になった記事や、思いついたことを書きとめているので見直しながら、妄想を広げます。
- 17:30
- 退勤。
- 18:30
- 夫と夕飯。彼との会話の中から企画を思いつくことも。
- 19:30
- 録画していたテレビやアニメを見て、ひたすらゴロゴロ……。
- 22:30
- 就寝。
Off-Time
最近、ミラーレスカメラを買いました! 週末はカメラを持って散歩に出かけます。
被写体を観察したり、構図を考えたり、今までとはちがう視点から街を見るようになりました。
時には街中の広告など「これ、本の宣伝の参考になりそう……」と撮影することも。
休日のお出かけの相棒です。
わたしの「人生の一冊」(新潮社刊)
『村上春樹、河合隼雄に会いにいく』(河合隼雄、村上春樹)
「この本、面白いよ」と編集長からおすすめされたのが、『村上春樹、河合隼雄に会いにいく』です。作家と臨床心理士が日本社会、宗教、物語などに、幅広いテーマについて縦横無尽に語ります。互いの言葉に触発され、思索が深まっていく様子は、一級のドキュメント。
就職活動中の皆さんへ
編集者は、「好き」の数だけ、仕事の幅を広げられる職業だと思います。とはいえ、「私って何が好きだっけ?」と改めて考えると、あまり思いつかないものです。
「アニメが好き」「漫画が好き」などはもちろん、どんどん「好き」のハードルを下げて「寝るのが好き」「お菓子を食べるのが好き」など、とるに足らないものも「好き」に含めてしまいましょう。「なんで、寝るのが好きなんだろう?」と深掘りを始めると、思わぬ自分の姿や、興味関心や癖に気づくこともあります。
「寝ている間は、何も考えなくていいから好き」→「いつもは考えすぎている」→「考えるのを止めて、メンタルが楽になるにはどうすればいいのか?」……などと思いめぐらせれば、すぐに企画の種が見つかるのではないでしょうか。どんな小さなものでも、「これ、好き!」と堂々と宣言してみて下さい。