新潮新書編集部 社員インタビュー
I・Mさん

2018年入社。
週刊新潮編集部、デイリー新潮編集部を経て、2024年より新潮新書編集部。

仕事の紹介


新刊を並べてSNS用に撮影中(Xも是非ご覧ください)。

 新潮新書では、毎月半ば頃に新刊4点を発売します。ルポやエッセイ、対談、翻訳ものなど、フィクション以外なら何でもありなのではと感じるほど、テーマも著者のタイプも様々です。黄土色の表紙にタイトルがドンと書かれた渋い印象とは違って、とても読みやすく、笑える本もあります。
 以前は、デイリー新潮編集部でネット向けの記事の編集をしていました。テーマを決めて、著者に依頼し、原稿をまとめるという流れは、新書を作る作業とある程度共通しています。しかし当然ですが、ネット上の幅広い読者に向けてワンテーマで書く記事と新書として一冊を通して論考するのとでは、様々な面で違いがあります。
 「デイリー新潮」の編集をした経験から「新書」という書籍の形で出版することの良い点を自分なりに考えてみると、安易に分かりやすい結論を出さなくていいこと、原稿の完成までに時間をかけ、著者とじっくり関係を作れること、そして出版した直後だけでなく長い時間にわたって読者の元に届けられることが挙げられるかと思います。
 経験は浅く、コネも無いので、これからどんな本を作っていけるのだろうかと手探りのような状態です。そうした中でも、特に若い書き手で、論文などは執筆しているけど一般向けの書籍を書いた経験がない著者に「新潮新書」でデビューしてもらえたらと思い、企画を立ててアプローチを続けています。
 本を作るときは、その本が誰かの家の本棚に並んでいる姿を想像します。一度読んだきりで、長い間そのままにしてあったとしても、例えば引っ越しの時にぱらぱら捲って「この本面白かったよな~」と自分の本を選ぶセンスが誇らしくなることってありますよね。そういう一冊を作りたいです。

入社後一番の思い出

 週刊新潮編集部で働いていた時に、連載小説を担当しました。それまで幻のように思っていた小説家という職業の人間が本当に存在しているんだと実感し、胸が熱くなったことを覚えています。
 毎月送られてくる原稿に対し、メールで感想を書いて送るというのが仕事の1つでしたが、本当にこんなことを書いていいのかな?と、おそるおそるといった気持ちでした。それでも、自分がその小説を読んで感じたことを深く掘り下げ、それを文章にするために頭をひねることは、一読者だった頃には経験したことがないとても楽しい時間でした。
 その小説家の方には、拙い感想を寛大な心で受け止めていただき、とても勇気づけられました。同時に、これから編集者として力を付けていかねばという気持ちを強くしました。

ある日のスケジュール

11:00
出社。原稿の疑問点について、著者から返答が来る。内容を反映し、原稿の体裁を整えて入稿の準備をする。
タイトルを決めるのはまだ先ですが、その都度、アイデアを出しながら、著者と方向性を決めていきます。
14:00
3カ月先に刊行する新書に掲載する地図について、外部のデザイナーと打ち合わせ。
書籍の内容によっては、地図や表などがあった方が分かりやすくなることもあります。
15:00
新書編集部会議。
2カ月先に刊行する新書のタイトルと1カ月先に刊行する新書の帯デザインについて、編集部全体で話し合います。
翌週には、営業や宣伝からの意見も聞き、より魅力的なタイトル、帯を考えます。
17:00
今月刊行される新書4冊の見本が届く。新潮新書のXアカウントに掲載する写真を撮影します。
月2回のメルマガ配信やXの投稿で、その月に出る新書の内容を紹介しています。
18:00
原稿の修正作業を続け、集中できなくなれば退勤します。

Off-Time

 山登りが好きです。体力が無いので、登っている最中は「なんでこんなにしんどいことをしているんだろう」という気持ちになるのですが、しばらくするとまた登りたくなってしまいます。適度に怖い思いをしたり、お風呂に入れなくてぼろぼろな状態になったりするのが好きなのかもしれません。山小屋での食事は疲れた体に染みわたって、どんな高級な料理よりも美味しいです。


尾瀬・長蔵小屋の朝食。

わたしの「人生の一冊」(新潮社刊)


『公園へ行かないか? 火曜日に』(柴崎友香)

 小説家の著者が、アメリカ・アイオワ大学のライター向けプログラムに参加し、各国の作家たちと交流する日々を描いたエッセイです。私は1人で海外に行くと、気軽に話せないからなのか、自分の考えが頭の中にどんどん溢れてくる感じがするのですが、この本を読むとその感覚を思い出します。

就職活動中の皆さんへ

 就活、大変ですよね。当時、周りには志望業界狙い撃ち、しかもトップクラスだけを受けて、早々に内定を獲得する人が何人もいて、やりたい仕事がいつまで経ってもよく分からなかった私は、これからどうなってしまうんだろうと不安でいっぱいでした。そして、キャリアセンターに言われるがまま、メーカーや鉄道会社をたくさん受けて落ちまくりました。
 出版社に入りたいと心の奥底では思っていたかもしれないけれど、倍率の高さに怖気づいて、どうせ落ちるし真面目に対策しても虚しい結果になるとしか思えず…とにかく自信が無かったです。本を作る仕事は魔法使いになるくらい、現実味の無いことだと感じていました。
 それでもなんとか入社することができました。いまは出版社で働くことができて本当に良かったと思います。少しでも興味があれば、自信が無くても挑戦してみて欲しいです。自分では気づいていなくても、実はぴったりくる仕事かもしれません。

新潮選書編集部

U・Jさん