人を

PEOPLE SHINCHOSHA

新潮新書編集部
K・Aさん

Profile

2004年入社。
週刊新潮編集部、開発部を経て2008年より新潮新書編集部

入社後一番の思い出

 「帰国した後、14日間は自宅待機となり、出社できなくなります。だから原稿作業は自宅で進めるつもりです。ですから……ちょっとアメリカに行ってきてもいいですか?」
 2021年11月、コロナ禍まっただなかのことでした。小さな会議室。何度もシュミレーションした「計画と事後処理」を新書の編集長かつ役員に伝えると、すぐに返事がありました。
「そんなに行きたいなら、行ったらいいよ」
 どうしても見に行きたかったのは、コロナ禍が一段落したアメリカで、数年ぶりにコンサートを開催する世界的グループのコンサートでした。コンサートはもちろん、世界一のファンダムとも言われるファンたちを、自分の目と耳で体感してみたい。そしてたどり着いた巨大スタジアムは、アーティストとファンがついに再会できる喜びで、開幕前から燃えるようでした。
 アメリカに滞在できたのは24時間足らずで、すぐ帰国便に乗り込みます。何枚もの検疫関係の書類を納めたフォルダが手放せず、成田空港についてもまた緊張のPCR検査が待っていました。でも何事にも代えがたい、新たな世界を見ることができました。
 売れる本、愛される本というのはあんなふうに「著者」と「読者」が思い合う関係なのだと思います。どうしたら、いま手元にある原稿をあの光景に近づけられるだろうか。たくさんの課題と「やりたいこと」を得た1泊3日でした。

ある日のスケジュール

4:30
起床。推し活、本読み、洗濯ものたたみを高速で
5:30
ランニングに出る(週に2~3回)
6:30
帰宅、ニュースチェック
7:00
朝ごはん。子どもたちを学校へ送り出すまでがいちばん忙しく、段取りのうまさを要求される(失敗すると子ども遅刻、あるいは複数の忘れ物が転がっている)
8:00
子どもたち登校、急に静かになる我が家。「子育ては大変だけど節目がある」という先輩の言は本当だった 
9:30
出社、メールチェック
10:30
単行本の編集長と打ち合わせ。到着した翻訳原稿の感想を話しながら、どんな読者を狙うか、価格は、表紙は、またどなたに推薦の言葉をもらうかなどを大きく話し合っていく
11:30
新書編集長のところへ。編集部の「進行係」の仕事で、数カ月先までの新刊の進み具合について情報共有してもらう
11:40
進行会議。編集長から聞いた最新状況を、新書の営業、製作(本という製品を作るための様々な資材発注を担当)、校閲、プロモーションそれぞれの担当者に伝える
11:45
3か月後に発売する新書のゲラ作業。
13:00
社食でお昼ご飯
13:45
同じ新書の表紙カバーとオビ作りに取り掛かる。どんなコピーが本書の「売り」「強み」「新しさ」なのか。書いては消し、また書いてみる地道な作業
16:00
新書の新刊を出した著者に、新聞記者がインタビュー。会議室で立ち合う
17:30
ネットニュース記事を作成
18:00
退社、スーパーと学童に寄って帰宅
19:00
晩ごはんと片づけ
20:00
子どもたちの宿題を見て、明日の用意をさせる。お風呂に入れる。うまく進むと、ここで洗濯機を回せる
21:30
みんなで就寝
21:35
旦那さんが帰宅、「パパー!」と起きあがる子どもたち。ごめん私は寝ますね……(明日も楽しく4時半起床)。

Off-Time

 2年半続いているランニングの相棒です。私が走り出す朝5時半は冬だと真っ暗、夏だと完全に夜が明けてもう蒸し暑い。でも人が出歩いていないのは1年中変わらず、そのなかを走りぬけるのは爽快なひとときです。音楽にひたるうち、今日は何から取り掛かるべきか、この数日間で何をどこまで進めておけばいいか頭の中も整理できてきます。「あれやってみたい」という企画が不意に思い浮かぶことも。明らかに体力もついて弾丸旅行も余裕です。でも不思議なのは、なぜまったく痩せないのだろうか?!(会社のデスクに常にお菓子が入っているからです)

就職活動中の皆さんへ

 今年はひとつハードなプロジェクトを経験しました。編集部はもちろん、営業部や製作、装幀、校閲、プロモーションまで17名が最初から最後まで密に協力することで発売できた本でした。今日中に何とかしなければという大ピンチのときも、ここをクリア出来たらもっと伸ばせる、と遠くを見て提案したときにも、チームの中から解決策が生まれ、それがひとつずつ実現していったことは忘れられません。新潮社には頑張りたい人を見守ってくれる温かさがあることを、皆さんへぜひお伝えしたいと思います。


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